浮足立つ投資家 2012 6 17
2012年6月16日の日本経済新聞Web刊には、このような記事があります。
国際通貨基金(IMF)は8日、
スペイン向け金融審査の結果を発表した。
ユーロ圏財務相も、730億ユーロという想定損失額を念頭に、
1000億ユーロという支援額を表明した。
十分に大きな金額で金融不安の鎮静を狙ったが、
今度は、スペイン国債の市場が動揺した。
スペインを金融支援するドイツなどは、
出した資金を焦げ付かせたくない。
そこで支援した資金は、スペイン政府が破綻しても、
国債より先に返してもらえる仕組みにすることが響いている。
そんな事情を知った投資家が浮足立ち、スペイン国債を売っている。
その結果、債券相場は急落し、
利回りは、国債の信認の「危険水域」とされる7%台に上昇した。
長期金利の上昇は、ただでさえ苦しいスペイン財政に一層の重荷となる。
スペインを舞台にした財政悪化と金融危機の共振は、
欧州債務問題が、さらに深化していることを象徴している。
(以上、引用)
この記事のなかで、
「支援した資金は、スペイン政府が破綻しても、
国債より先に返してもらえる仕組みにする」とありますが、
これでは、もはや、ドイツは、
スペインが破綻することを想定して動いているということでしょうか。
さて、本当は、どうすべきだったのでしょうか。
「欧州中央銀行が、無制限かつ無期限にスペイン国債を買い入れる」とした方が、
結果的に、よかったのでしょうか。
しかし、こうした大胆な政策ですら、対症療法に過ぎないところが、
今の欧州危機の深刻さを象徴しています。
一時的に、欧州中央銀行に助けてもらっても、
やがて、不景気の進行によって、借金が返せなくなるという未来が待っているのです。
さて、どうすべきか。
これは、国という単位で考えるから、わかりにくいのです。
たとえば、企業が、このような状態になったら、どうすべきか。
金利減免、それでも、だめならば、元本カットでしょうか。
しかし、それでも、だめならば、会社更生法の適用でしょうか。
欧州においては、借り手責任が強調されていますが、
当然、貸し手責任も問われるのです。
甘い審査で過剰な融資には、貸し手責任が問われるのです。